![[DVD] Tsotsi (ツォツィ)](/image/tsotsi.jpg)
制作 : 2005年(南アフリカ)
監督 : Gavin Hood
脚本 : Gavin Hood
出演 : Presley Chweneyagae / Mothusi Magano / Percy Matsemela
2005年アカデミー最優秀外国語映画賞受賞作品。
舞台は「世界最悪の犯罪都市」と言われるヨハネスブルグ。
19歳のツォツィ(不良という俗語)はスラム街に暮らし、強盗を繰り返すギャングだ。
自分を馬鹿にした仲間に大怪我を負わせたツォツィは居場所を失い、高級住宅街に迷い込み、咄嗟的にBMWを強奪する。
運転していた女性を銃で撃ち、半身不随の重症を負わせたうえ、奪った車の中には生まれたばかりの赤ん坊が乗っていた。
印象的だったのは、ツォツィが車と一緒に奪ってしまった小さな命を手に掛けることはできず、赤ん坊を紙袋に入れて持ち歩くシーンだ。
途方に暮れ、同じスラム街に住むシングルマザーの少女に銃を向け授乳を強要するも、次第に少女と心を通わせるようになり、ツォツィは少しずつ「人間らしさ」を取り戻していく。
「わたしにこの赤ちゃんをちょうだい」
「いや、それはオレの赤ん坊だ」
こんな2人の会話から、人間の「生」や「尊厳」についていろいろ考えさせられる。
エイズ、貧困、格差、暴力と、どうしようもない社会情勢の中で生き抜く強さ持つ反面、安易に他人へ銃を向けてしまう現実。
満員の地下鉄で強盗をはたらくシーンや、車椅子の老人を執拗に追い回すシーンはかなりリアルで、近年まで人種隔離政策を敷いていた南アフリカの哀しい現状が生々しく伝わってきます。
全体的にセピア色な非常に物悲しい映像、ツォツィの尖がった表情と時々覗く幼い表情、私にとってこの作品は結構衝撃的で、とても印象深いものとなった。
→ ヨハネスブルグ (フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)